Q&A

乗船前のQ&A ビザが必要ですか? 日本国籍の方は、ロシアのみビザが必要です。 パスポートは、国によって異なりますが、基本的に滞在期間+6か月の有効期限が必要です。 パッセンジャー・インフォメーション・フォーム(PIF)は必要ですか? PIFはパッセンジャー・インフォメーション・フォームです。お客様のニーズに細かく対応するためにご連絡いただく情報です。クルーズ前後のご予定、緊急連絡先、持病、アレルギーやお食事制限などを事前にお知らせいただき、その情報にもとづき万全の準備をいたします。 空港と船の間の交通手段はどのようなものがありますか? 乗船日の指定時間帯に空港に到着(または出発)する便にお乗りいただけば、無料の空港送迎をご利用いただけます。予めフライト情報をお知らせください。税関出口・荷物受け取り出口で係員がユニワールドのロゴ入りボードを持ってお待ちし、専用バスで船あるいはコースに含まれるHotel(下船日は空港)までお連れします。指定時間帯以外の便の場合は、有料送迎を手配することができます。または、ご自身でタクシーもご利用下さい。ご乗船の書類と一緒に、乗船場所/下船場所の案内を同封いたします。 何時からチェックインできますか?早い時間のフライトで到着したら? 船には午前中から乗船いただけます。午後3時まで客室はご利用になれません。午後3時前に到着されたお客様は、スーツケースをフロントでお預かりいたします。市内散策やショッピングなどをお楽しみになるか、もしくはラウンジでおくつろぎください。タクシーはフロントでお呼びします。コーヒー・紅茶、ミネラルウォーター、また昼前に乗船される場合は、ラウンジで軽食を無料で用意しております。ご自由にお召し上がりください。 言葉が不安です。どんな乗客が乗りますか? 船内は英語です。船は浮かぶホテル、外国のホテルに個人で宿泊された経験があれば大丈夫です。150名前後ほどのお客様なので、クルーもお客様もすぐ顔を覚え親しくなります。お客様の7-8割は米国人、おおむね50-70歳代です。 クルーズ中の服装は? 日中は快適でカジュアルな服装で結構です。その季節、旅する地域の気候に合わせた服をお選びください。気温の変動に対応できるので重ね着がおすすめです。色合わせを考えて服を選べばボリュームも抑えることができるでしょう ドレスコードは、船でも下船観光でもスマートカジュアルです。船でのウエルカムディナー、フェアウエルディナー、陸でのディナーやコンサートには、男性はジャケット(ノータイも可能)、女性はおしゃれなワンピースやパンツスーツがお勧めです。 靴は石畳などでも、しっかり歩けるウォーキングシューズとおしゃれな靴を1足お持ちください。また、日除け帽、折畳み傘(大きな傘は船に備えております)、小さく折りたためるウインドブレーカー、ショールなどをお持ちになると便利です。 ディナーでのショートパンツはご遠慮ください。 部屋のアメニティーは? 全室リバービューのお部屋にはエアコン、液晶テレビ、船内用電話、金庫、バスアメニティはエルメス、ロクシタン、アスプレイなど。無料の飲料水、ドライヤー、バスローブ、傘もご用意しております。 船内の電力は220V、船室のソケットは2ピン(ヨーロッパCタイプ)です。 お部屋のベッドはダブルにもツインにもセットできます。(一部、変更できない船があります。ご確認ください。) 毎日ハウスキーパーがお掃除し、安全確保のため見回りも行われます。 スイートルームには、バトラーのサービスがございます。何なりとお申し付けください。   クルーズ中のQ&A お食事は? 船内のレストランは、リラックスした雰囲気で全員が一度にお座りいただけるワンシッティング、朝食/昼食は豪華なビュッフェをお楽しみください。夕食は郷土料理やシェフ自慢のコースディナーをご用意いたします。特殊ブランドやヴィンテージワイン以外の、全てのお飲物(ワイン、ビール、ソフトドリンク、コーヒー、紅茶、ミネラルウォーターなど)が料金に含まれております。 外国客とのディナーは心配 個人での海外旅行のご経験があれば、心配には及びません。また、初めての方や日本人のサポートが必要な方にはパッケージツアーを主催している旅行会社をご紹介いたします。 下船観光はどのような感じか?早く歩けないが参加可能か? 夕食の間、ベッドメーキング時にお部屋に翌日のスケジュールが配布されます。 下船観光は、ごく少数を除き料金に含まれ、各寄港地では2つか3つのコースからお選びいただけます。御足の調子に合わせてゆっくり歩きコースや、健脚派向けに自転車ツアーなどもあります。夕食前のミーティングで、翌日の観光と歩行難度をご説明いたします。 自由時間に街歩きをしたいが? 桟橋はほとんどが町中です。船の定員が少ないので乗下船はあっという間です。乗船時に船名と電話番号を書いた緊急連絡先カードをお渡しし、寄港地ごとにレセプションで街歩き用の地図を差し上げます。まれに桟橋が遠い場合は、町と船間に無料のシャトルバスをご用意します。 レストランの席は? 自由席で、一度に全員がお座りいただけます。お客様の交流がしやすいよう、4-6人掛けのテーブルになっております。(英語が苦手な方のためのテーブルヒント集を作成しております。こちらをご覧ください) ランドリーやドライクリーニングは? 有料のランドリーサービスがご利用頂けます(洗濯、乾燥、アイロンがけ)。また、船内にはセルフサービスの洗濯機、乾燥機、アイロンがあり、無料でお使いいただけます。洗剤はフロントで(約2ユーロ)でお買い求めいただけます。ドライクリーングは排水の問題から扱っておりません。 船は禁煙? 船内と観光バス内は禁煙です。喫煙は、サン・デッキの指定場所、お部屋に船の図面上に指定場所が表記されておりますのでご確認ください。ヨーロッパの多くの観光名所は禁煙です、ご注意ください。 船内でインターネットはつかえる? 無料のインターネット・コーナーが設置されております。入力は英語のみとなります。メイン・ラウンジとキャプテン・ラウンジではWi-Fiが無料でご利用いただけます。Wi-Fi対応ノートパソコンやスマートフォンをお持ちいただければ、日本語でメールの送受信ができます。 注意:ロックや橋の下を通過中、また地形によって電波が届かないことがあります。船内の接続スピードはご自宅より遅いです。 ご了承ください。 自分の体力がちょっと心配なのですが、どうすべきですか? ご自身の体力について心配なお客様は、出発前にユニワールドのスタッフにご相談ください。車椅子や電動スクーターなどの使用が必要なお客様は、エクスカーションにご参加いただけない場合や、乗船できない場合もございます。また、市内観光では、石畳など平坦ではないところを歩く場合もありますので、長距離の歩行が困難なお客様は、参加が難しい場合があります。 船の支払いは? ユニワールドは船上ではキャッシュレス(現金なし)の環境を整え、それを特徴としております。船内通貨はユーロです。クルーズ中の費用はすべてサインで、下船前日にご清算いただきます。お支払いはクレジットカード(MasterCard、Visa、American Expressでユーロでチャージされます)、ご利用されているクレジットカード会社と海外でのご利用についてご確認ください。 または現金でのお支払をご希望の際、船内ではユーロと米ドルの現金をご利用いただけます。(お支払いただく金額は、その日の船内レートで計算されます)。 船上にATM機はありませんが、ヨーロッパの多くの都市には、大手銀行のATM機があり、多くのデビットカード、クレジットカードでの現金化が可能です。なお緊急の場合のみ、船上で定額の両替ができます。 チップは? クルーズ/ツアー中の全てのチップ、クルーズと一緒にご予約されたユニワールドの前後泊のホテル部分のチップは料金に含まれています。 船内の蛇口の水は安全? お部屋の蛇口から出る水は特別な浄化システムを通しており、飲み水として安心してご利用頂けます。また、お部屋には環境に優しいウォーターボトルをご用意しています。何度も利用でき、自由にお水を補充して観光にお持ちください。このボトルはお土産としてお持ち帰り頂けます。  

ラインの古城を望む

ライン川クルーズ編 兵庫県 S.N様 6月16日(土) この旅行の出発日  朝早く西宮市の自宅を出発して、関西空港よりKLM航空のアムステルダム行に搭乗してオランダ向かった。機内はほぼ満席であったが順調に飛行して、現地時間の午後3時過ぎに到着した。空港からホテルに向う時、ホテルを間違えて別のホテルに行ってしまい困ったことになったが、ホテルの人が探してくれて事なきを得た。ここでこれから同行する従姉妹のNさん親子と出会い、これから7月2日まで楽しい旅をすることになる。 まず、6月17日から8日間は私達夫婦とNさん親子と四人でオランダのアムステルダム港をユニワールド社の新鋭クルーズ船S.Sアントアネット号に乗船して、スイスのバーゼル港に向うことになる。時期は初夏で山々は緑にあふれ、ライン河はアルプス山地の雪解けで川幅いっぱいに水を湛えて流れていた。 リバークルーズは2003年秋のローヌ河クルーズ以来である。ヨーロッパの河を利用しての観光旅行の利点はこのローヌ河クルーズの時に体験し好感を持っていた。まず、各船室がゆったりした二人部屋で、大きなバッグの荷物が自室に収容できる。シャワーなど水回りが整っている。それに最高は食事が広いレストランでゆったりと味わえることは満足である。外洋クルーズ船のように3000人を超える乗客数と異なり、船上生活において慌ただしさがない。それに河を遡上したり、下ったりしている船は揺れることが殆んどない。また、川沿いにある観光名所には船を泊めて、徒歩やバスを利用してゆったりと見学や買い物をすることができるので便利であった。 さて、S.Sアントアネット号は長さ135mで客室を80室もつ新造船であった。乗客の皆さんの多くはUSAの方が大半で、あと、カナダ、メキシコ、オーストラリアなどの人がいた。東アジアの人は私たち日本人4人と、香港の方が2人いるだけであったが、食堂など一同が集まるところでは老夫婦の方々が多く、和気あいあいの雰囲気があり食事を楽しく過ごすことができた。 船内の生活は夕食後各船室に配布される船内新聞(デイリー・プログラム)に記載されているスケジュールにより全てがとり行われるのである。船の運航スケジュール、食堂、サロン、バー、スパ、プールの開閉時間、船内の催し物の時間、観光地の見学スケジュール、オプションツアーの種類や参加要領などである。ただ全てが英文であるために、よく理解できない部分が度々出てくるが、乗船昇降口にある受付、案内所で尋ねたり、また、その近くにトラベルデスクもあり詳しく説明してくれる。それにオプションツアーなどはサロンで説明会も行われる。 さて、今回、ライン河クルーズを選んだのは何と言ってもヨーロッパ大陸で一、二を争う大河であり、古来よりこの大陸の中心を横断する大動脈で、多くの人々が利用した歴史が刻みこまれている。河口からスイスのバーゼル間は1880kmと言われているが、ドイツの新幹線ICEでバーゼルとアムステルダム間は6時間30分で運行されているが、この船は8日かけてじっくりとライン河を遡り、SS・アントワネット号の生活を充分に楽しむことができた。 6月17日(日)  クルーズ船第一日  午後からアムステルダム港オスト・ロイデルガーデ乗船場で始まった。ここには数隻のリバー・クルーズ船が係留されていて、すでに多くの乗下船客が集まっていた。乗船時間に少し早目であったが船のタラップを上がり乗船手続きを済ませる。その後、船内で昼食をして、サロンで休憩しているうちに乗客は次第に集まり、船の係員や幹部職員による挨拶や乗船についての注意事項、救難時の説明や実演が行われた。その後に各自の船室に案内された。午後七時からレストランで夕食が始まるころにはアントワネット号はすべるように港を出港しアムステルダム・ライン河運河を走っていた。  6月の日の入りは遅く、整備された幅広い運河は両岸に背の高い樹木が植樹されている、所どころオランダ特有の風車小屋があり素晴らしい景観を見せてくれた。その後、夕日が沈むころにはライン河と運河の水位差を調整する閘門(ドック)を経て船はライン河本流へ入った。 6月18日(月)  クルーズ第二日   目が覚めるとライン河両岸に工場と思われる大きな建物がみられる。時には原子力発電所を思わせる特有の形をした煙突が何ヵ所で見られた。これは船がドイツ最大の工業地であるルール地方に差し掛かっているのだと思った。 昼近くに河口から355km遡った所にあるケルンに到着した。昼食後、バスに分乗してケルン大聖堂観光に出発した。乗客は数班に分かれてガイドさんの説明を聞きながら大聖堂の内外を見学する。その後は夕刻まで解散になり各自で目抜きの商店街や周囲の観光施設を自由に見学しバスで船に帰った。夕食時にレストランでは船長主催のウエルカムデナーが盛大に行われた。 6月19日(火)  クルーズ第三日  朝が明けカーテンを開けると船は雪解けの水を満面にたたえたライン河を音もなく遡上していた。川幅は広く両岸に牧場と田園それに小さい集落に大きい都市が次々と入れ替わっていく。また、河にある上下の航路には絶えず貨物を積んだ大型貨物船やクルーズ船がすれ違う、ここはドイツの交通の大動脈だと感じた。 朝食後に船はコブレンツに到着した。この町はライン河に西からモーゼル河が合流するところで、合流点には「ドイツの角」(ドイッチェス・エック)という砂州が公園に整備され多くの人々が集まるところである。コブレンツの旧市街地は大変魅力的な街でロマンチックな街路に長い歴史を秘めた広場と教会の建物を各班に分かれて説明を受ける。  その後、ライン河畔のロープーウエイ乗場へ行き、この川を横切って対岸の台地上にあるエーレンブライトシュタイン要塞に向かい見学する。ここでモーゼル河に沿って隣国フランスの軍勢がいく世紀にわたりドイツに侵入し壮絶な争いをした歴史を知ることができた。  その後、船に帰り昼食後オプションツアーに参加し、バスに分乗してマルクブルグ城の見学に出発した。このライン河は古来より交通の大動脈であったので,この河の支配権をえるために各所に城塞や関所が築かれる中で、マルグブルグ城は今に伝わっている城の中で保存状況が良いものとされている。ライン河の中流域では両岸が切り立った台地状の地形になっている、その台地の上部に堅牢な城が築かれている。城内は保存状態もよく日本の漆喰と木造の城とは違い狭く岩石つくりで頑丈である。 この後、我々がオプションツアーに出かけている間に船は出航して少し上流のブラウバッハに到着していたので、バスで後を追いアントアネット号に合流した。 6月20日(水)  クルーズ船第四日   船はこれからライン河めぐりの中で風景が最も美しいといわれるライン渓谷を航行する。ライン地溝帯と呼ばれ両岸が切り立った崖になり、その上部が台地上になっている地形で、崖の緩やかな所にはブドウ畑が広がってこのあたりはドイツワインの産地である。また、途中にはローレライの歌で知られる名所旧跡がある。他に両岸の至る所に昔の諸侯の城や館が点在している。あい憎くこの日は小雨が降ったりやんだりで船室からの眺望であった。  昼過ぎに船は河口から500kmのリューデスハイムに到着した。この町はライン河に沿ってできた細長い町で、バスに分乗して町に出かけた。多くの人々が来るところ「つぐみ横町」(ドロッツセルグラセ)は有名で年間300万人の観光客が訪れる。 特に日本人の間によく知られ、ワインの試飲がレストランでできることで喜ばれている。町並には土産物屋とレストランが多く、この町のレストラン(夜はワインバーになる)ではバンドのライブ演奏が昼夜問わず聞けることが、つぐみ(鳥)の賑やかなさえずりとなり名物になったのでは? 私たちが町を散歩しているときにレストランの店頭で、なぜかロシア兵の服装をした数人がロシア民謡演奏してカリンカ等を歌たっていた。あと、船まで散歩がてら歩いて帰り、この後の観光予定はなく、ゆったりと自室でくつろいだ。 6月21日(木)  クルーズ船第五日   船はマインツ、ウオルムスを経てシュパイヤーに向かう。ライン河の中流を経て上流に差し掛かる河の両岸にあった台地の崖はなくなり、平野の向こうに、そう高くない山々が見えるようになってくる。シュパイヤーは古い歴史を持ち、古代ローマ人がドイツに侵入したころに建造したバシリカ様式の建物が、今はシュパイヤー大聖堂として世界最大のロマネスク様式の建築物となり世界遺産に指定されている。ここを見学した後に、午後は城下町であり、有名な大学都市であるハイデルベルグ観光へバスに分乗して出かけた。  この町は1997年に訪れたことがあるが、市内を流れるネッカー河を挟んで広がる市街地のなかで南岸の旧市街地には14世紀に創立されたハイデルベルグ大学があり、その背後にある城郭はドイツの有力諸侯であったファルツ選挙侯が築いたものである。この城では多くの日本人旅行者と出会い久しぶりに日本語の会話を楽しんだ。城の展望台からネッカー河に架かる古風のカール・テオドール橋や両岸の重厚な石造りの市街地の眺めていると古い歴史が感じられる。この日も観光客が多く市内は賑やかであった。  その後、船に帰ると楽しい夕食が待っていた。食事の時はいつも四人が座るテーブルはほぼ同じになるので、テーブル担当給仕の几帳面なニックさんとは仲良くなり、何かと気配りをしてサービスをしてくれた。それにもう一人、この船のレストラン部長フランコ・ビンセントさんもよく このテーブルに来てくれて懇意になり、毎夕食時には味は別にして、日本食の特別メニューを一品サービスすることに気を使ってくれたことは嬉しいことだった。 6月22日(金)  クルーズ船第六日   ライン河はドイツ・フランス国境を流れている。船はドイツ側のケールに停泊したが、観光の目的地は車で5~6分のフランス側のストラスブールである。この町はアルザス地方にあり、年末には盛大なクリスマス市が開かれることで知られている。 ケールからバスに分乗してストラスブール市内に入り、市内観光はこの町を取り巻く運河に沿って観光船に乗って始まった。ここはヨーロッパ大陸の中心に当たり、ライン河に沿う南北の道、それにフランスのパリとドイツのミューヘン、それにオーストリアのウイーンを結ぶ東西の道の十字路に当たり、古くから物資や人の流通と商業の盛んな土地として栄えていた。この町の中心には今も当時の大商人の多く館がのこっている。この人々がギルドをつくり、その財力でストラスブール大聖堂の建設を支えたことは知られている。  また、この運河の整備もその当時に建設されている。さらに現在はEU(ヨーロッパ連合)の中心地としてヨーロッパ連合議会の議事堂が運河沿いに建設され目を見張る威容を示している。しかしこの町の観光の中心はストラスブール大聖堂である。観光船から上陸して寺院内外を詳しくガイドさんが案内してくれた。 昼食には船に戻り、午後はドイツ側の黒森(シュワルツワルト)と呼ばれている地方へオプションツアーで出かける。この黒森東斜面にはヨーロッパのもう一つの大河であるドナウ河の源流にあたる山地で古くから開けた地域である。この地域の人々の生活の一端を見学するためバスで出かけた。ドイツでは古いなだらかな山脈のことを「森」と呼んでいる。例えば「ボヘミアの森」や「チューリンゲンの森」もその類である。 ケールの東にあるオッフェンブルグを東に進むと次第に山が近くになり、なだらかな上り坂になってくる、この地方では古くから木工製造が盛んで、これに精密機械を組み合わせた鳩時計作りが行われた。バスはまず、時計の製造・販売所を訪れ職人さんの製造実演を見学した。  ここでちょっと質問!時計には小窓からかわいいカッコウが顔を出すのになぜ、鳩時計というのだろ? 店の二階ではこの地方の特産品でもあるブラックフォーレスト チェーリーケーキの試食やショッピングが行われた。 この後、黒森地方の「民家ミュージアム」を見学する。これはこの地方の民家を各年代ごとに再現したもので、ほとんどが農牧業の家であるが、古くは1590年頃の民家から1870年頃にかけて家の形も様々なものが再現されている。その時代の生活様式が展示され中には実演や実習が行われ子供たちの教育の場として使われているようだ。シュワルツワルトは古くからブナ林が多く緑豊かな山地であったので、山がいつも暗く黒森と言われたようだ。  このツアーで思ったことは、ここは山地であるが鉄道や道路も整備されているし、今は多くの町村や小さい地方都市も開けている。しかし、今もなお、ここには古い伝統ある山村の歴史を持ち続ける日本の里山文化地のようなものが感じられた。 6月23日(土)  クルーズ船第七日   船はケールより少し上流のブライザッハに停泊した。今日はアルザス地方の白ワイン産地の中心コルマールをはじめ、中世の面影を持つ歴史と食べ物の町リクヴィールをほぼ一日かけてバスで出かけることになった。 ドイツ側のブライザッハを出発してライン河の長い橋を渡り西へ10kmほど行くとフランスのコルマールの市街地が見えてくる。この町は広い平野の真ん中に有るが、西の方には低いなだらかな山地がある。これがヴォーシュ山脈でアルザス白ワインの産地である。この山麓に沿って北はマルレンアイム(ストラスブールの西)からタン(ミュルーズの西)までを「アルザス・ワイン街道」と呼ばれてコルマールはその中央に位置してワイン醸造が盛んで、近くのライン河の港から白ワインが積み出されている。 バスが市内に入るとドイツ風のコロンバーズと呼ばれる木骨組み家屋が多くみられ、(ストラスブールの商人の屋敷にも見られた)それらを狭い運河が町を取り巻いている風景は小ヴェネチアと呼ばれている。この運河を小舟に乗り観光することもできる。その他に民家の屋根に時にはコウノトリの巣が見えるので「コウノトリの里」とも言われている。 午前中にコルマールの市内観光を終わり、これからワィン街道を北北西に10kmほど山の方へ進むと、中世の風情を漂わせる町リクーヴュルに到着した。町の入り口には高い塔を持つ城門があり、町全体が城壁に囲まれている。この町は「ワイン街道の真珠」と呼ばれ、いつも多くの観光客であふれている。 アルザス地方はドイツ・フランス国境にあり、昔から自然の交流があったが、また、交易の主要路に当たっているために両者の激しい戦いの歴史の場でもあった。その度に「最後の授業」のように国語が替わった話は有名である。ただ、このリクーヴュルはその戦火に曝されず、古い町並みや建物を残している町である。この周囲は山地に近く町の周辺はブドウ畑が一面に広がり、アルサスワインの主要生産地でもある。  バスを降りて城壁内にいると、まず、多くの観光客がいるのに驚く。古い町並みはゆるやかに上り、両側におしゃれな店が数多く並んでいた。町並みはほぼまっすぐで20分ほどでドルデータワーという古風の高い塔でこの町並みの終わりである。この町は食事が美味しいのでも知られており、昼食は各自で摂ることになっていた。朝からかなり長い時間が経っていたのでドルデータワーを下った辺りで小さな食堂に入った。タルトフランペ(アルザス風ピザ)やシュークルート(酢キャベツとソーセイジ)など土地の料理があるようだが、この時点ではその知識はなかったのは残念!この後、バスはブライザッハの船に帰った。  今日はレストランで船長主催のフェアウエール・デイナー・パーテイが行われた。食べ物も豪華で賑やかな会場に、船の乗組員全員の働きに感謝して、各乗組員の職場ごとに全員が紹介され拍手が送られた。また、テーブル担当のニックさんやフランコ・ ビンセントさんを、このテーブルに来てもらってお世話になったお礼を言った。  明日はここから少し北にあるスイスのバーゼル港に着きこのクルーズは最後になる予定であったが、なぜか、ライン河の水位が異常に上昇しているため、このブライザッハからバスで一時間ほどかけてバーゼル空港やスイス国鉄中央駅に行くことになった。 6月24日(日)  クルーズ船第八日   朝に目を覚ましカーテンを開けると、やはり昨夜と同じブライザッハであった、レストランでいつもの朝食をとり、決められていた八時過ぎにはバスに乗車してスイスのバーゼル駅へ出発した。最後はあっけない別れになってしまった。これから以降は旅行の第二幕であるスイスのグリンデンワルトに六日滞在してユングフラウ・ヨッホに至りライン河上流の水源を極めたあと、グリンデンワルト周辺をトレッキングした後、ルッツェルンを経由してチューリッヒで二日滞在後に、アムステルダム経由で帰国することになる。 スイス・アルプス編 スイス旅行の初日はドイツのブライザッハから始まった。6月24日朝8時過ぎにクルーズ船SSアントワネット号に別れをつげて、バスはスイス・バーゼル市のバーゼル国際空港に向かう人とバーゼル中央駅に行く人を30人ばかりを乗せてライン河に沿って出発した。ブライザッハとバーゼル間は約60kmぐらいで朝の通勤時間であったが道路の混雑もなく先に空港に寄ってから、10時前にはスイス国鉄バーゼル中央駅に到着した。 ここからは船に代って鉄道を利用するので私たちはスイス鉄道のスイス・パス8日間とユングフラウ・パス6日間を用意した。この二種類の鉄道パスを利用することでスイスの国鉄とユングフラウ鉄道の路線のみならず、スイスの主要都市の市電・バスやインターラーケン・グリンデンワルト周辺の登山鉄道・ロープーウェイと路線バスは勿論、湖の観光船にも使用できたのでこれをフルに活用して、グリンデンワルト滞在中の一週間は天気が良ければユングフラウ山塊の周辺をトレッキングして廻ろうと思い、天候の悪い日はインターラーケンやベルンそれにピールなど都市の観光地やブリエンツ湖の遊覧船、さらにスイス時計とスイスチーズのメッカであるジュラ地方のラ・ショウド=フォンやベルレーなどに出かけたい所は多くあったが現実にはなかなか々難しいところもあった。 6月24日(日 スイス旅行第一日(クルーズ船第八日目と同じ日)     クルーズ船アントワネット号に別れてバスでバーゼルのスイス国鉄中央駅に到着した。この時、船の乗客は十数人いたが各自が「スイス特急の旅」などに別れていった。 まず、バーゼル駅の切符売り場の窓口でスイス・パスのヴァリデーション(利用開始手続き)を行う。その後はインターラーケン行のICの時間表を見て乗車ホームへ行くが、少し時間があったので駅構内を散策する。  ヨーロッパの各国同じであるが駅に改札口がなく駅のすべての場所に自由に行けるのが便利である。ただ駅のトイレは有料のところが多いのは困りものである。バーゼル市はスイスの北の玄関に当たりライン河の港をはじめ、町の西側には国際空港(ユーロ空港)があり、鉄道の駅はライン河の東側にドイツ国鉄が併用するバーゼルBF駅と西側にはバーゼルSBB駅がありスイス国鉄とフランス国鉄が併用している。この他にスイスの代表的な工業都市であり、特に化学工業では有名で日本の薬品会社も進出している。